元テレビDがSNS動画を観る・4 業務上やる人たちがシリーズ動画で考えていること

2023年3月の熱海の朝

業務で映像を作る人たち

 以前、youtubeのシリーズ動画を「業務的、中の人案件」で、作った時のことの関係者のコメントで、「普通、Youtubeってだんだん良くなるものかと思ったのに」…と、いう人がいて、うーん。私はそもそも、ガチガチに動画やってきたように見えませんのでね。まぁ、いいやと(笑)。

 とはいえ、相手がどんな仕事をしているのか分からない人と、仕事は組んではいけないと思っています。こちらが疲れます(笑)

 一つの見方だけど、与えられたテーマについて、ここが着地点という認知があるのが業務上できる人たちです。伝えるための根本がしっかり見えるうえ、表現するとなるとここが大事みたいな、そんなことが当たり前に表現できる。「できる」ので普通に「頑張らない」。相談すると、「できるよ」って、ニヤってされる。だいたい、他にもやることが山ほどある。

 やりたいことをやるっていうのはいいのですが、不得意のことを、無理やり頑張らなくて良いと思います。ビジネス上、分からないことを分かるようにする時間より、できる誰かと組んだ方が、実現までのスピードは上がりますからね。

「だんだん良くなる」SNS動画はほっとくのが正しい

 「だんだん良くなる」SNS動画は、ほっとくのが正しいと思っています。最初は誰でも初心者だし、飽きればやめるし、愉しければ続きます。DIYに似ている印象がありますね。

 たとえば、ホームセンターでDIYする材料を探している人。とりあえず、自分でどうにかやりたいんです。ご家庭のこまやかな問題を解決したい修繕方向か、もっとよくできないかなと作り上げていくかのどちらかで。当然、木工だか、鉄鋼だか、修繕の水回りのプロは存在するワケで。普通は、DIYって止まらないというか、止めてはいけないものだと思います。

 SNS動画の発展ってDIYとよく似ています。「自分がやりたい」んでやる感じ。
 センスのある人が、その後延びるのも一緒で、たまに、木工鉄鋼系でDIYやる人、振り切って職人クラスやアートクラスって人いますからね。

業務上やる人たちがシリーズ動画で考えていること

 最近は、youtube動画でもプロダクションがくっついて運営する場合もあるので、そうした業務でやる人が一般的に何を考えてるかと言うと…。

シリーズ動画全体の見た目を整える

 テロップデザイン、タイトルの基本カラーを決める。
 BGM、SEなどの統一感を持たせる。
 グレーディング(色調整)も、どんな色調か決める。

 出演キャラクターの性格もここに入ります。キャラクターが2名以上の場合、コメントのフォローテロップの使う色を決める、とかします。

撮影技術全般について気を遣う点

1・音声

 音声がしっかりと聞き取れること。
 人の音声が入るなら、簡単なもので良いので、しっかりと収録できるマイクがあると良いです。

2・照明

 室内ですと、照明仕込んどくと、映っている人物に好感が持てていいです。

3・シリーズの継続感

 30本~100本くらいは欲しいなとか思っているんじゃないですかね。たぶん。
 1、2本で、ファンを付けるっていうのは、よほどでないと無理だと思います。地上波で活躍される芸能人の方とか知名度の高い方は別です。

こういうのは、ほんとはきちっと一眼でいきたいところ…ですがスマホにて@2023年3月の伊豆

高画質カメラによる幻想

 これは個人的見地なんですが、4Kの画質が良いのだっていうは、半分幻想だと思っています。撮っても、データがでかいので扱うのもいちいち大変。編集もパワーマシンじゃないとつらいし、アップロードはいつまでかかるのって感じですしね。
 ご自分がyoutube動画を視聴することを考えると、たいてい、パソコンかタブレット端末、またはスマホ。100インチの大画面で確認しようとかはないと思います。

 4Kの特徴である細かいところの描写まで美しく再現したいアイデアがあるものであるなら有効。そうでないならHDで十分かと感じます。

照明についてのそもそも

 照明の仕込み方は、YouTube解説動画で今やたくさんあります。
 ただ、テレビ技術関連のみの照明の仕込み方ですと、現場の人…雑な場合があります…。テレビのスタジオ収録のときは、たいていは、人物に顎とかに影をつけないように照明を作ります。見た感じは割りとのっぺりしている感じがします。
 空気感取りたい時は、影をわざと作ります。よく、海外の俳優さんが来日時、ピンでインタビューとかに応じるときのカッコいいアレ…。残念ながら、私が現役ディレクター時には、取り扱っておりません(物撮り以外…)。

 照明技術の最上級は、映画・ドラマ、CMになります。ここは、映像分野でも照明に関する考え方はこまやかで、人物の影ありなしとか以前に、どんな空気感を演出するかになるのでまったく違います。たとえば、早朝のすがすがしい空気感を表現とか、夜の室内の暖かい感じを表現するとか。
 そういえば、照明技術はよく分からなかったので、自腹で東京まで映画現場の照明技術の方に講習を受けに来ました。ただ、テレビの情報番組とかでは、まったく必要ないです。

 20代、30代のデジタル一眼慣れしたWebの仕事師の方が、照明仕込みが丁寧な場合があります。テレビほど時間に追われないでしょうし、基本的に細かく見ることができますから。

2023年3月の忍野八海

自分の直観やアイデアは宝物

 テレビがアナログからデジタル放送に変わって、電波では画質を落として送出しています。それなので、編集室では編集素材をモニターしながら、「見よ。俺たちの見ている画面が、一番キレイなんだよ」とか、冗談めかして言ったりするスタッフいましたね。「いや、ほんとや」と、周りのスタッフが聞いていました。

 私はそんな中、持ち球がこれならこうやり倒しすかとやってた気がします。新しい機材の城は、とりあえず覚えてものにして好き放題するぜ、ビバ社畜とか…(いや、当時はまだ「社畜」って言葉がなかったかな…ただ、ノリ的にはそんな感じ。そうしないと業務上、私の本職の、頭使う方に行かなくて)
 どうせディレクターは私。合うイラスト素材ないわ~、描くわ~、しかもデジタルでなく紙に~(笑)。とか、何か違う方向に振ってたのもありますけど。局の手書きテロップ時代の絵の具を発見して(材料代タダじゃないですか)、イラストを描き始めたとか。で、描いた後は、それを取り込んでもらって絵コンテで絵割り指示とか…。

 何が言いたいかというと、自分の直観とかアイデアって宝物で。
 やってみて始めて、失敗したとかどうにかしたい点がでてくるワケで。猛進くらいに前向きに、問題をつぶしてみると、次がある。ただ、やりすぎて疲れたら休まんといかんのが分かるw。

 …という学びは、プロもアマも関係がないかと思います。

 今や、Youtubeとかをみれば言わずもがなですが。なんと素晴らしい動画だらけ。自分の直観やアイデアで、やりたいことをやりたおしている。(これをレッドオーシャンと呼ぶ…←これも、死語な気がする)

 止まらないやつというか、止めてはいけないやつになってますよね。