イイ女の見分け方は盆踊りにあり
その昔の、日本の祭りの日というのは出会いの場で、そこで良い関係になったカップルはその場からスイっといなくなっちゃう……なんてこともあり……。色恋事は、本来は大らかだった我が国。思えば、ストリップショーが史上初めて明文化されているのは古事記の天岩戸の節だろうという話もあり。まぁ、盆踊りはご先祖さま供養のためだけど、そんなこともあっただろうな、と、思いますね。
……いやね、というのも分かるんです。
踊ると、イイ女かそうでないかは、ものすごくはっきり見えてくるんです。20代後半のころ、私はよく番組取材でVTRの撮影に出ていたんです。地域の盆踊りに行く機会が結構あって、カメラ振りながら「この人、素敵だなぁ」と惹かれるのは、決まってそんな女(ひと)だったので。(当方、属性ストレートなんですが、絵描きなんで、人間の色気には敏感)日が落ちてだんだん暗くなると、提灯の明かりも塩梅よく……。人の色気って大事だな、と彼女たちに教えてもらいました(笑)。
ふるさとのわらべ唄 戎谷和修<6>盆踊り
老若男女が集まり、楽しそうに踊る。昔、母は太鼓が聞こえてくると頭の中が踊り一色になり、隣村までも踊りに行ったという。そのころは、誰もが知っている口説(物語)に合わせて朝まで踊っていた。周防大島町情島では「東が明るくなっても、愛媛県の怒和から太鼓が聞こえてくる。情は夜中で終わるので、若い衆が船で呑みに行った」ということだ。いい唄が多く残っている。
同町屋代の神領踊り『お染久松』は唄に合わせて足を前にすりあげ、ける、回るといった瀬戸内海一帯に見られる足踊りである。口説は「さわさりながら さりながら ショイ うやまい申し奉る エンヤーサイ」で始まる。甲高い声に「ショイ」や「エンヤーサイ」のかけ声と太鼓が相まって『越中おわら節』のような趣を持つ。古くから残る素敵な踊りだ。
唄や踊りは幼いころから親に連れられて、一緒に踊っているうちに自然に身に付くものである。大人になってからの習得は容易ではない。その意味で、各地に保存会がつくられ、小、中学生にも教えることは郷土の感性の伝承になるであろう。
ちなみに周防大島町の「共和会」は屋代小、田布施町の「嵯峨音頭保存会」は麻里府小、周南市鹿野町の「サンサ踊り保存会」は鹿野小、中の子どもに教えていると聞く。(元周防大島町立三蒲小校長)
さわさりながら
さりながら
ショイ
うやまい申し奉る
エンヤーサイ
これぞ今年の初心中
ヨイヨイヨーイ
ヨイヤサ
所は都のひがしもり
聞いて鬼門の門屋敷
河原町ぞや油屋の
一人娘のお染こそ
心は花の色さかり
年は二八の
ほそまよい
うちの子飼いの久松が
忍び忍んだねあぶらを
親たちゃ夢にも
しらしぼり
(周防大島町屋代)
[記事:中国新聞社提供 掲載日付:2007年8月19日]