【アーカイブぷらす】ふるさとのわらべ唄 <16>最初はグー ジャンケンポン

1.ふるさとのわらべ唄

ふるさとのわらべ唄 戎谷和修 <16>最初はグー ジャンケンポン

歌詞

ジャンケンもってスッチャンホイ
あいごでアメリカヨーロッパ
パリは名高い大都会
インドの国はまっ黒け
景色のよいのが日本じゃ
 (山口市徳地町島地)

楽譜 ※詳しくは、山口県内の図書館に置いてある「うたいつぎたい ふるさとのうた」を参照してください。

 テレビの「8時だよ!全員集合」で放映されて以後、子どもはほとんど例外なく「最初はグー」でジャンケンを始める。

 昔は「ジャンケンホー」「ジャンケンホイ」「じゃんけんぽん あいごでしょ」「いんじゃんほい ちっけった」「ジャスケスもってスッチャラホイ」など、いろんな言葉でジャンケンをしていた。例えば、周防大島町平野では「ジャンケンポン」を「シャイシャイシャイ」と言っていた。

 また、「お寺の和尚さんがカボチャの種をまきました 芽が出てふくらんで花が咲いたらジャンケンポン」や「ジャンケンもってすっちゃらほい…」「ジャンケンじゃくろがはちわれて…」などと、さまざまな唄にジャンケンが付いていた。

 ジャンケンは、中国から入った拳遊びの一種といわれる。尾原昭夫著「近世童謡童遊集」には、江戸時代は「遊びの役を決めるときには、右の手を握り『チイ リイ サイ』と言いながら必ずぢゃん拳をして決めた」とあり、また「五指皆開くを紙とす。母指人差し指の二本出し余の三指を握るのを鋏(はさみ)とす。五指皆握るを石とす。紙は鋏に負け、鋏は石に負け、石紙に負けるの極めあり」と書かれている。

 「最初はグー」以外の、その土地土地のジャンケンも伝承していきたいものだ。(周防大島町立三蒲小校長)

[記事 中国新聞防長本社提供 掲載日付:2007年11月25日]

2.「最初はグー」を考える。

 テレビ番組の「8時だよ!全員集合」で育った世代の私としては、コントの天才・志村けんは絶対的な力を持つ時代のアイコンの一人。
 一つの力強い流行を生み出すまでの基本のデータ量と、選択するセンスはとんでもない仕事量です。
 そして、公共の電波であるテレビから流れるものは絶対的に力が強いものです。そうして、人間的な根本願望として誰しも、強いものにあこがれはある。力の強いものに巻かれるのはラクで良いことでもあります。

 もともとだけど、「テレビで言ってる」というのが人として生きるのに、正しいことなのだろうか、とちょっと止まって考えてみることも重要だと思っています。人が生きるにとって、本当に望ましい流行なのか、そもそもそれは「豊かなもの」なのかという。

 地域の文化で伝わっていることは、基本的には小さいし、マス情報に対抗するとなると弱いもの。
 ただ、日本で生きることの、毛細血液や抹消神経系だったりしないかと思うんですよね。人がその地で生きるには大事なものが詰まっちゃいないかな、と、私は感じるところです。

今回の唄の採取地は、山口市徳地町です。
ちなみに、山口県はここです。