木桶による発酵文化サミットin東京
【木桶による発酵文化サミット@渋谷ヒカリエ】
山口県の醤油蔵、桑田醤油の桑田さんが渋谷のイベントに参加されるというので、聴きに行ました。「木桶醤油で世界を目指す」という、座談会。このシリーズ、通しで聴けばよかったな~、と思いました。
桑田醤油さんちの醤油は昔ながらの杉樽を作る古くからの製法。多分、10数年ぶりにお目にかかった(左から二番目)。とはいえ、製造の現場なると、どう攻めるか(経済につなげるか。手数を踏むか)になるなぁ、食品も工場製という現代にいたって、木桶発酵は繊細な微生物相手ですから。
最近の流れとして、世界に向けて「木桶醤油」を「クラフト醤油」として、世界に出しているというのだ。
登壇されている向かって左手より、
・足立醸造(兵庫県)足立裕さん
材料すべてを有機農法にこだわり、昔ながらの木桶の醸造がメインのお醤油、お味噌屋さん。ドイツにも販路を持つ。ドイツには、日本食レストランが多くなり、自宅の冷蔵庫には「醤油」が普通に並ぶようになっていて、需要があるようだ。
・桑田醤油(山口県)桑田浩志さん
木桶醤油。九州・山口地区では甘くする醤油も。
マレーシア、オーストラリアに販路を開拓。
・日東醸造(愛知県)蜷川泰輔さん
白醤油がメインの木桶醤油を作るお醤油屋さん。アメリカ西海岸の販路を持つ。
・農林水産省 望月新介さん
GFP、2年半ほど前から日本の伝統的な手法で作られたものを海外に輸出するという取り組みをしている。
・聞き手は、博報堂ケトルの日野昌暢さん
日本のものをどう売っていくのか。
今は円高でかえってやりやすい。
輸出が上手くいくパターンがあると、農林水産省の望月さん。
1.人・・・自分の商品が自慢できる
2.物・・・人ができていれば、物がついてくる
3.仲間・・一つの目標に仲間があつまる。仲間と同じ目標を持って進むこと。
そのほか印象に残ったこととすれば、
・欧州では物にもストーリーがあるものが受け入れられやすい。ヨーロッパのワインの産地や農家にはストーリーがあり、それを楽しむ文化がある(みなさん)
・木桶職人がきちんと生活できるまで、醤油、味噌、日本酒の木桶醸造の需要を増やす必要がある。(桑田醤油、桑田さん)
・競合他社だと思っていたから、ライバルだと思っていた。みんなで大きくしていくというのは、自分の中で衝撃だった。(日東醸造、蜷川さん:27歳)
課題としては、
・日本人は売るときには、恥ずかしいくらい押しを強く!
アメリカには、日本の野菜がまず入ってきていて、そのあとに中国韓国の押しの強さで押されたとのこと。現在は、中国の野菜と韓国の野菜しか見なくなったという現実がある。中韓の彼らの売り文句としては「うちにはもっと良いものがありますよ」「最高のものがありますよ」。
日本人は奥ゆかしすぎで何か言われると引くケースが多く、二の句がなく、そこで終わる事例もあるようです。
これは、宗教的な背景もあるように個人的には思いますね。道徳観念が、欧州とは違うからです。
醤油蔵でも蔵癖があって、これは職人さんの癖がでるよう。いろいろと勉強になりました。
下手な田舎より、エッジの効いた都会
なぜ私は木桶発酵の蔵醤油にこだわる? って、ことなんですけど、まだ地元の山口県にいた15年くらい前にさかのぼります。
私が食養生で健康を取り戻そうをしたのはかれこれ15年くらい前。そのころは、都会でも食養生で体を立て直すなんてことは誰も振り向きもされてない時期だったのではないかと思います。
自分でも仮説は立てて実行しても、心にこれは本当にいいのだろうか? と疑問があり、体調の変化をブログにしていきました。当時、「山口ブログ」「広島ブログ」っていうランキングサイトがあって、そこにも登録していました。桑田醤油の桑田さんにお会いしたのは、多分そのオフ会だったように思います。
「山口県にもまだ杉樽醤油を守る人がいる!」と、感動した記憶があります。
(うちの地元山口県とか九州地方とかは、甘く添加して使うのが主流です。でも、蔵付きの菌のみなさんは何かしら作用していますよね。)
食養生をやり始め当初から重要だったのは調味料です。当時の私は全く意識していませんでした。とくに、塩・醤油・味噌。塩は海水由来の天日塩。味噌・醤油は、杉樽など昔ながらの製造のものにしました。
それでお料理をし続け、身体を中庸にするよう徹底しました。結果、腸内細菌叢が復活してきたようです。続いて、脳が変わり思考が変化し行動が変化し結果的に人生が動き始めたようなんですよね。
地元で体調が戻ってくると、だんだんと自然農法などの知人が増えてきました。その集まりにも参加するようになりました。ただ、残念なことがありました。
うちの実家も農家ですから良く分かるんですけど、素材がまず美味しいので、生産者って逆に調味料はあまり気にされてなかったりするんです。私は当時、風邪薬からなにから、醤油とか味噌をいちいち使っていたりしましたから。
無農薬で作っていても、調味料が添加物ばかりでは結果的には大したことなくて、逆に、昔ながらの製法の調味料だと、慣行農法の食材でも本当はパワーが出せるっていうのも、食養生やっていくうちに分かってきました。
当時は本気で「醤油蔵と酒蔵は国策で守って欲しい」とか、ことあるごとにいう人になっていきました。以降すっかり、ベジタリアンなのですが(たまに、間違えて口にすることはあります)。
本当に重要な食の情報としては、「下手な田舎より、エッジの効いた都会」の方が通りは良いな、とは思います。これは、食文化を守る上でも、都会を味方につける。都会の人をまず制すべしと感じています。
そして、今やそれは、海外に目をむけよともあるワケで……。
会場となった、渋谷ヒカリエ8Fは地域情報を中心としたブースも多く、各地の職人さんが集まるイベントも時々あります。(個人的にはちょっと懐かしい空気が漂っています。)