JAZZ研|”What A Little Moonlight Can Do”連想 ~作詞作曲両方やる人と、ギャップ萌えなど

某所サロンでのびのび育つ観葉植物さん

NY 在住のJAZZシンガー、霧生ナブ子さんの初心者オンラインクラス「NY’de Let Sing JAZZ」の44回目。 私は、13回目くらいから参加してます。結構たちますね。
回数が重なっていくと、参加者の方のリアルでお目にかかったり、みんなの近況報告とかも、楽しんでいます。

最近は「歌ったことない曲が自分に入ってくるまで」のルートが割とできてきたかな、って思っています。きちんとルートができなくて途中だと、個人判断でなんとなく居心地悪い感じがする。
その後の詳細すり合わせは各種セッションにて、みたいな。

”What A Little Moonlight Can Do”勝手考察
Harry Woodsは作詞と作曲両方やる人

それで、44回目の課題曲が、
”What A Little Moonlight Can Do”(1934) Music & Lyrics Harry Woods

歌い出しが「う~う~う~」っていう感じ(笑)
うーむ、と。
……感嘆符ともとれるのですが、(笑)
そこにも、当然情緒表現が必要なわけで、軽くこの「う~」を、考察をしていてみようかな、と思った次第です……。

それで、続く歌詞が
What a little moonlight can do to you 月明りがなんてことしちゃったの
You’re in love あなたは恋してる

Your heart’s a flutter and all day long あなたのハートは一日中ドキドキして
You only stutter どもるしかなくって
‘Cause your poor tongue なぜって、あなたの残念な舌は 
Just will not utter the words この言葉を口にできないでしょう
“I love you”  「愛している」

……で、冒頭の「Ooh,ooh, ooh」う~う~う~。と続くと……。
ふまえると、「う~」のところの考察的には二種類。
・歌詞「月明りがなんてことしっちゃった」場面につなげるワクワク(?)表現
・“I love you”って言葉が出てなくて、「う~」って言っちゃってる
……みたいな。

作詞家だとなんか言葉を入れたいところだと思うのだけど、作曲と両方やる人って、割と「これでよくない?」っていうのが時々あると思っています。

Harry Woodsと同じように、当時、作詞作曲するヒットメーカーがいたなと思い出せば、Cole Porterで。
前述の「う~う~う~」と、似た表現が”Night And Day”じゃないかと思っています。
ヴァースの ”like the beat, beat, beat of the tom tom~” こっちはリズムは言葉通りで、同じ音程が続く。

魅力的な人は何をやっても魅力的

”What a little moonlight can do”の邦題は、月光のいたずら。発表当時は、小唄と酷評されたけど、Bille Holidayの歌唱でヒット。
かわいい歌が、語り手が違うとヒットしちゃう。いつもは、トーチ・ソングとかのバラード、ブルース寄りのBille Holidayだったので、これで早いリズムの曲でも良い評価を得て認められたようです。

素材と、それを取り上げて表現する本人との、ギャップに想像が広がるというのがあると思うんですよね。いわゆるギャップ萌え。素材の世界観が、「あら?」と魔法がかかったように変わる感じ。

たとえば、相手に超叱られそうな場面で、その相手が年上で魅力的な女性だった場合。
その魅力的な女性がいざ怒ってみると、なんと「怒っても素敵」で(笑)。
思わず、「すいません、もう一度怒ってください!」と、余計な一言でさらに関係が沼化する。
っていう、少年マンガでありがちなシチュエーションがあったりしますが。これって、ギャップ萌えだと思います。

かくいう私もそんなシチュエーションになったことがあった経験があります。
相手は同性の一流の客ももてなせる某ホテルのベテランサービスウーマンでしたが(笑)。バイトで少しお世話になって、彼女の下で私はサービス研修のテストを受けてるところでした。当然、うまくはいかずに粗相して怒られるんですが、その叱る様子がなんだか素敵で、心の中で思わず私は
「すいません。素敵だったんで、もう一度怒ってもらっていいですか」
とか、言っておりました。さすがに、口には出しませんでしたけど……。

その時、前述の少年マンガのシチュエーションってこんな感じか~、と、やたらと納得したのでした。

語り手で唄は変わる

とはいえ、Bille という語り手を得て”What a little moonlight can do”のように、唄の印象が変わって魅力的になった例として、”Crazy He Calls Me”って曲があります。
もともとは、男性が片想いの女性に向かって書かれたもので、”Crazy She Calls Me”。

歌い出しが女性目線だと、
”I say I’ll move the mountains
And I’ll move the mountains
If he wants them out of the way
私は言うの 私は山を動かすわ
もし、彼があの山を片付けたいなら
私は山を動かすの

Billeだと、山動かすとか本当にやりそうな気がするんですよね。

ちなみに、私が”Crazy He Calls Me”を最初に聞いたのは、とあるボーカルセッションでした。そこのボーカルセッションは、70代頃のご婦人グループがよくいらっしゃってました。
みなさんきちんと歌詞を覚えてて、しっかりとうたってらっしゃる。聞いてると、愛唱歌になっている感じなんだなぁ、というのが見えてきたのです。

人生の海千山千を越えてから選ばれる曲というのが、その人生に合うセレクトでしかないなぁ、表現するのが自身の声ですしね。いろんな曲が歌われて、その中で、一番印象的だったのが”Crazy He Calls Me”でした。

あまり若い人が、”Crazy He Calls Me”を歌っても、なんだか「言ってるだけでしょ?」って、様にならない感じがします。
そのくらいの年にならないとわからない曲なのかなぁ、と、思ってみています。

以上、つれづれと考察まで。