東京見聞録|阿佐ヶ谷、七夕まつり

「東京なんて……」

「東京なんて」とか、そういえば、私は言っていたような気がする。東北大震災の年の秋に出てきた私は、今や別の存在のよう。
 もう、思えば8年前の話だ。その年に生まれた子供は小学生。

 で、住むところと言えば、あいも変わらず、杉並区の阿佐ヶ谷という町で。田舎から何も期待もなく(笑)出てきた私とすれば、コンパクトで温かで居心地の良い街だった。

商店街の独自の努力

 阿佐ヶ谷の夏の名物といえば、8月の月遅れの七夕。商店街の人たちが昭和29年に客離れをどうにかして抑えて、自分たちの商店街に来てもらえないだろうかと独自に始めたお祭りで、今年で66回目を迎える。
 この時期、夜な夜なパール商店街を散歩すると、ほんわかしたようなワクワクするような空気が漂っている。お店の人たちが仕事を終えシャッターを閉めて、何をしているかというと……張りぼてを作ってるんである。

 しかも、年数を経ているために、造形レベルが普通に高い(笑)

 東京に出てきて気が付いたことは、地方で起こっている商店街の客離れなどは、もう昭和30年代とかに東京は経験をしているのだということ。
 そして、アイディアと実践を繰り返し、現在に至る。それで今また、いろいろと次を模索もしているな、というのもよくわかる。

夜は満杯になるので

 夜は人が歩けないほど満杯で張りぼてがよく見えないから、だからたいてい朝早く端っこから端っこまで張りぼてを見て、夜はちょっとだけ、みたいな楽しみ方をしている。

 今年は8月3から7日まで。にぎやかになりそう。