100㎞違うと文化が違う
今回のお話は、虫送り。田植えが終わって虫を追っ払って五穀豊穣を祝うお祭りです。
今は、大手の飲食店とかができて、画一的なデザインで、田舎はどこもいっしょだけど、本来は100㎞住んでいる場所が違うと、土地の色が変わっていくものです。(”でした”というのが今は正しいのかもですが)
住んでいた山口県内の話なのですが、やっぱり土地の文化が違うんですよね。
私の地元から、100㎞も越えると、「このお祭り知らない」というのは、結構あります。慌てて調べます。そんなお祭り。
ふるさとのわらべ唄 戎谷和修<4>虫送り
稲の害虫を追い払う祭りである。県内各地の虫送りは、周防大島町久賀の「南無禅(なむでん)踊り」をはじめ、ほとんどが「実盛(さねもり)送り」といわれるものである。
今年が生誕百年になる同町出身の民俗学者、宮本常一の著書『民間暦』には「藁人形をつくり、それを先頭に村中の者が田のほとりを鉦太鼓ではやしたてながら歩き、最後に川や海に流す。それは、実盛様が稲につく害虫を背負って連れていくと信じていたからである」といった意味のことが書かれている。
周南市鹿野町でも、斉藤別当実盛様のわら人形を作り、これを早蝿様(さばさまー)と呼び、「早蝿様陣立 実盛どもはお供をしゃあ」と実盛を害虫に見立てて唱えながら、村境の川に流したという。
また、山口市小郡町では「豊後地に渡れ」と言って海に流したという。
一方、山口市徳地町岸見ではこんな話を聞いた。「虫送りは『ちんかかり なんまいだ』と言って、観音様の大きな数珠を繰りながら田んぼの中を歩いて回りました。子どもも大人も、最後に食べ物をもらって食べました。男の人は最後に酒を飲みました。虫をよけて豊作を祈る行事です」(元周防大島町立三蒲小校長)
【歌詞】
早蝿様陣立
実盛どもはお供をしゃあ
(周南市鹿野町)
ちんかかり
なんまいだ
(山口市徳地町岸見)
[記事:中国新聞社提供 掲載日付:2007年8月5日]
歌詞の採取地区は下記です。