わらべ唄に欠かせない動物
中国新聞防長路のわらべ唄三回目は、牛さんが登場するんですね。
わらべ唄に欠かせない動物として挙げられるのは、牛さんと馬さん。要するに農作業を手伝う家畜ですが、この二つは必ず出てきます。
で、私は「うわ来た。どうしよう」と思うんです……苦手だから。(鳥も苦手だから)結局どうしたかというと、当時の自宅から車で45分くらい走ったところにあった動物園に行っては、馬と牛と鳥をスケッチしていました。実物を見るのが一番です。ご家族連れに交じって、クロッキー帳にガリガリやっていました。もちろん、年間パスポート持っていましたね。
今でも、悩んだときには、四つ足の動物の筋肉の付き方とか解剖的に見て、勉強していますね(とは思えない絵だろうとは思うのですが……)。
前回に引き続き、ホトトギスの「聞きなし」の話題です。
ふるさとのわらべ唄 戎谷和修 <3>ホトトギス②
萩市むつみ村にも「こっといかけたか おとど来たか 今何時か お父さん留守かい」という口なりが残っている。
「今何時か」は江戸時代でも通用する言い回しであり、「お父さん」という呼び方とはアンバランスである。本来は「おっとー留守かい」とでも言うべきだろう。
言葉のリズムを大切にし、意味にこだわらない。それがわらべ唄の特徴である。
岩国市周東町の「ひよじ」という所と美祢市蔵目喜で「ホトトギスは五月になったら、よく鳴く。『こっといかけたか 今日はまだかけん』と言っていた」という話を聞いた。「こっとい」とは牛の雄(尾)を言う。
岩国市北河内や防府市小野では「テッペンかけたか テッペンかけたか」、美祢市大嶺では「はっちゃんかけたか」と同じ口調で唱えられている。
しかし、岩国市周東町中田や川越では「おんぞんかけたか」、山口市小郡町では「てっぺん はげたか てっぺん はげたか」の「かけ」の音の高低が逆になるなど、違った口調になっていた。
ホトトギスの鳴き方が土地によって違うはずはない。結局、聞いた人がどうとらえるかによって違ってくるのだろう。(周防大島町立三蒲小校長:当時)
こっといかけたか
おとど来たか
今何時か
お父さん留守かい
(萩市むつみ村)
こっといかけたか
こっといかけたか
今日はまだかけん
(岩国市周東町、美祢市蔵目喜)
[記事:中国新聞社提供 掲載日付:2007年7月15日]
山口県難読地名「特牛」
ところで、「こっとい」と言えば、山口県に難読地名トップで「特牛」ってところがあるんですが、これは「こっとい」と読みます。何か牛の雄と関係があったのかもしれませんね。