『聞きなし』
動物の声や鳥の歌声の聞いた感じを、人の言葉で表そうというが「聞きなし」です。第二回目は、そのお題でしたが、ちょっと悲しい物語がついていました…。
ちなみにホトトギスの鳴き声はこんな感じ。
ふるさとのわらべ唄 戎谷和修 <2>ホトトギス① 中国新聞「防長路」2007年7月8日掲載
耳を澄ませばホトトギスが鳴いている。大きな縞(しま)模様の鳥で、出合うとはっとする。県内のどこでも鳴き声が聞ける。したがって、口なりも「東京特許許可局」というのが一番多く分布しているが、ほかにも「てっぺんかけたか」「包丁掛けたか」「本堂建てたか」「おんぞんかけたか」など、いろいろある。各地でそれぞれ聞こえ方が違うようである。
阿東町徳佐の倉増清さんは、こんな話を聞かせてくださった。
「ホトトギスは『こっといかけたか おとどこいし』と鳴いとると母らが言いよったがね。『弟恋し』というのは、ある兄弟がおってね。兄の方が肺病になった。やせてきたので、弟が心配して山へ行き、山芋を掘ってきてね。兄に食べさせよったんです。それで、ようなった。しかし、治った兄が、弟は自分に隠れてさぞええ物を食べちょるんじゃろうと疑って、殺したんです。で、おなかを見ると、中は山芋のつるばっかりじゃった。それで『おとどこいし』て言うんです」
囲炉裏(いろり)端で、おじいさんが子どもに表情豊かに昔話を語っている。そんな光景が目に浮かぶ。これは「ホトトギス兄弟」という昔話として知られている。
こっといかけたか
弟恋し
(阿東町)
東京特許許可局
(とうきょうとっきょきょかきょく)
(県内各地)
てっぺんかけたか
包丁かけたか
本堂建てたか
(その他)
[記事:中国新聞社提供 掲載日付:2007年7月8日]
今回の唄の収集場所である阿東町は、合併して山口市になっています。
「あの時のイラストそっくりね」
実は下記が掲載当時のイラストです。10年もたつと絵も変わるので、100回目くらいまでは、パソコンで着色していました。ブログでは今の絵で描きなおすとどうなるのかな、という感じもあって描きなおそうと思っています。
新聞で死に姿を描くというのは、なかなかないですが、それでも描かねばと書いた記憶があります。
個人的には、この掲載が始まったころと同時に、私の父がステージ4の癌で入院手術となり、三年後の2010年に亡くなるのです。亡くなった時の父の肌の色を見て、母がぽつりと言った一言。
「あの時のイラストにそっくり」
それが、この一枚。長く連載を持っていると、いろいろなことがあります。